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ワンポイント税務

  • 2023年5月号 大家さんのための税金基礎講座

    2023年5月5日

        

    増加傾向にある税務調査と大家さんが気をつけるポイント
    新型コロナの影響で税務調査は減少していましたが、その沈静化に伴って増加傾向にあります。今回は、相続税の税務調査で最も指摘の多い事項と大家さんが気を付けるポイントについて解説いたします。

     国税庁が発表している「相続税の調査等の状況」によると、相続税の実地調査件数は令和元事務年度(2019年7月~ 2020年6月)の10,635件から、令和2事務年度(2020年7月~2021年6月)は新型コロナの影響で5,106件に減少し、 翌年度は6,317件まで戻しています。その一方で、実地調査による非違(申告漏れ等の誤りがあったもの)割合はいずれも85%超と、10件中8件は税務調査によって何らかの指摘を受けています。これは、他の税目に比べてかなり高い割合です。税務調査で申告漏れ等が発覚すると通常の相続税のほか、ペナルティとして加算税が10%又は15%発生します。さらに悪質と認められると35%又は40%の重加算税が発生します。


     相続税の申告書が提出されると税務署は内容を検討し、不明な点や確認したい事項があれば税務調査という流れになります。この場合は連絡もなしに職員が直接自宅に来ることはなく、事前に電話連絡があります。税理士に「書面添付制度」を依頼することで税務調査の割合を減らすことができます。書面添付制度とは、簡単にいえば税理士が相続税の申告書の内容や計算方法を細かく調査したということを示した書面を添付することで、申告書に〝お墨付き〟を与えたようなものです。
     税務調査は、税務署の人事異動が終了する7月から12月にかけて行われることが多いです。1月から3月は確定申告時期ということもあり少ないですが、4月以降に調査が行われることもあります。税務調査にかかる時間は財産規模にもよりますが、1日で終わるケースがほとんどです。税務調査当日は、調査官2名が担当して10時から開始され、被相続人が生前にどのような生活をされていたのか、通院や入院歴、趣味や生活費の管理方法などをヒアリングしてきます。このヒアリングによって調査官は、生前の被相続人について多くの情報を把握したいと考えているので、とても重要なものになります。その後、お昼をはさんで、午後には申告書に記載された財産や債務に関する原始資料の確認を行い、16時くらいに終了します。お昼は調査官と一緒にとる必要はないですし、調査官は勝手に食事をとります。当日のために準備するものとしては、相続税の申告書や計算に使用した原始資料や、被相続人の預金通帳の履歴や相続人の預金通帳などが挙げられます。


     税務調査で特に多く指摘される申告漏れは現金や預貯金です。被相続人が奥さんやお子さん、お孫さんなどの家族名義で貯金していたものやタンス預金などです。たとえ相続人の名義であっても、その資金を被相続人が拠出している場合などは相続財産となるためです。また、奥さんが専業主婦なのに多額の預金をもっている場合、奥さんが自己の資金(例えば過去に働いていた時の貯金や、実家の相続によって財産を相続した場合など)でなく、被相続人からの生活費を貯蓄していたような場合でも、原則的には相続財産となります。知らないだろうと思っていても、税務署は職権によって預金の履歴を誰のものでも取得することができるため、事前に預金の流れを把握してきます。どんな申告が調査されるのでしょうか? 税務調査の選定理由は非公表ですが、被相続人の生前の収入から考えて相続財産が少ない場合、極端に預金が少ない場合などは対象になる確率は高くなります。
     税務署では、被相続人の収入は所得税の確定申告により把握ができますし、一定の富裕層であれば財産債務調書の提出義務がありますので、毎年の財産状況を把握することができるのです。
     さらに税務調査で指摘されるものに損害保険があります。アパートに5年や10年分の火災保険料を前払いしている場合や、JAの建物更生共済を払っている場合には相続財産に該当します。通常の火災保険は掛け捨てなので基本的に相続財産になりませんが、前払いしている保険料があれば、もし解約すれば解約返戻金として戻ってくるためです。JAの建物更生共済は掛捨てではなく、保障期間満了時に満期共済金が支払われるため必ず解約返戻金相当額があります。税務調査によって指摘を受けて追加納税が生じる場合は別途ペナルティが発生しますので、もれなく申告できるよう、家族の預金をきちんと分けておくこと、贈与を受けた家族がその財産を使用できる状況にしておくこと(通帳やカードは受贈した家族が管理して使用した事実を残しておくこと)などが重要となります。

    1 税理士法人レディング代表税理士木村英幸

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