2023年2月号 田中 「令和5年度税制改正大綱」による相続税・給与税の改正ポイント | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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ワンポイント税務

  • 2023年2月号 「令和5年度税制改正大綱」による相続税・給与税の改正ポイント

    2023年1月28日

        

    令和4年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」の中から相続税・贈与税に関する改正について解説いたします。

    相続時精算課税制度の拡充
     相続時精算課税制度(以下、精算課税)については昨年の10月号で取り上げました。これは、60歳以上の父母又は祖父母から、贈与者の推定相続人である18歳以上の子又は孫に贈与した場合に、累計で2,500万円までは贈与税の負担額なく贈与できる制度です。2,500万円を超える部分については、一律20%の贈与税を納付することになります。ただし、贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時は、贈与財産の価額を相続財産に加算して相続税額を計算しなければなりません(すでに納付済みの贈与税額は相続税額から控除されます)。したがって、原則として相続税の負担軽減にはならないと言われ、あまり普及していませんでしたが、この点が改正されます。改正内容として、現在の累計で2,500万円という基礎控除額とは別に、毎年課税価格から110万円を控除することができるようになります。この分は申告も不要で、将来の相続財産への加算も必要ありません。したがって、年間110円以下の贈与であれば、暦年贈与より精算課税を選択した方が有利になります。
    また、贈与財産が不動産の場合、贈与の日から贈与者の相続税の申告期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算される不動産の価額は、贈与時の価額から被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とされることとなりました。

    暦年贈与の加算期間延長
    もうひとつの選択肢である暦年贈与は増税となります。相続、遺贈などによって財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内に暦年贈与によって取得した財産があるときには、その相続税の課税価格に贈与を受けた財産(贈与時の価額)を加算する必要がありますが、その期間が3年から7年に延長されます。ただし、7間の贈与全額が加算対象になるわけではなく、4年から7年の贈与財産の合計額から100万円を控除した残額を加算することとなりました。ともに2024年1月1日以降に贈与する場合について適用されます。

     この改正によって精算課税と暦年贈与のどちらを選べばいいのでしょうか? 精算課税には、暦年贈与のメリットである年間110万円の非課税枠が追加され、さらに、暦年贈与のような7年という加算期間はありません。しかも累計2,500万円(年110万円を除く)という基礎控除もあります。これだけを考えると精算課税の方が有利と思えるのではないでしょうか。しかし、暦年贈与の方が、相続税・贈与税の総額が抑えられるケースもあります。それは、贈与したい資産の総額が大きく、毎年110万円ずつでは時間がかかりすぎる場合です。そこで、毎年500万円を18歳以上の子に10年間にわたって贈与を続けて、その時点で相続が発生したとき、精算課税と暦年贈与を比較すると図のようになります。


     両制度ともに10年間で500万円ずつ計5,000万円を贈与しましたが、相続財産に加算されるのは5,000万円のうち、精算課税では3,900万円、暦年贈与では3,400万円となります。それぞれが10年間で支払った贈与税は、精算課税では全額、暦年課税では7年分までが相続税から控除されます。これだけでは、どちらの相続税と贈与税の総額が低くなるかは判断できませんが、かなり近いことは分かります。さらに贈与する資産額が高くなり、贈与期間が長くなれば、暦年贈与の方が有利になることが分かりますね。このように、どちらを選べば税額が抑えられるか、という問いの答えは、「相続人の数、資産の総額、贈与の年数によって変わる」ということになります。贈与税と相続税の合計をシミュレーションすれば最適な答えがでますが、贈与できる年数は「神のみぞ知る領域」ですので、あくまでも最適値の予想ということになります。以上が「令和5年度税制改正大綱」で示された相続税・贈与税に関する改正についての解説となります。

    税理士法人レディング代表税理士木村英幸

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