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ワンポイント税務

  • 2022年7月号 大家さんのための税金基礎講座

    2022年7月28日

        

    不動産の有効活用を、相続税の視点で見るとどんな方法があるでしょうか? 方法によって相続税の計算にどんな影響を及ぼすでしょうか?

     不動産の有効活用を、相続税の視点で見るとどんな方法があるでしょうか? 方法によって相続税の計算にどんな影響を及ぼすでしょうか?
     Aさんは地主で先祖代々から土地を所有しています。先代から相続したときに多額の相続税を払ったこともあり、更地駐車場にしている土地はこのままでいいのか、賃貸住宅を建てて経営したほうがいいのか悩んでいます。

     相続税対策は遺産の合計額を計算するところから始まります。遺産(財産の価額)は原則として時価で評価しますが、時価を把握することが困難なこともあり、国税庁が定めた方法に従います。まず土地は路線価で評価します。路線価が定められていない地域は固定資産税評価の倍率により計算することとなります。いずれの評価方法で行ったとしても、相続税の評価額は実際の公示価格の80%程度に抑えられています。
     これは、いわゆる評価の安全性(大量一括評価なので堅めの価格)を考えているためです。

     仮にAさん所有の駐車場の面積が200㎡で時価1億円とします。すると相続税評価額は80%の8,000万円ということになります。駐車場の敷地の評価自体は8,000万ですが、この駐車場が、砂利や舗装もされていない平面駐車場なのか、平面であってもアスファルト舗装がされてるのかで、特例(小規模宅地の特例)の適用が受けられるか決まってきます。この特例は、相続の開始直前にAさん(被相続人)の貸付事業として利用されているかどうかによって適用の可否が決まります。この貸付事業は、家族からお金をとらないで貸している場合や知人に低額で貸している場合には対象になりません。相当の対価で貸し付けている必要があります。また特例の要件に、土地の上に建物又は構築物がある必要があります。
     アスファルト舗装や、しっかり整備された砂利敷きは構築物に該当しますが、砂利や舗装もされていないと特例の適用はありません。では特例はどのくらい効果があるのでしょうか?
     この特例は、貸し付けている土地について200㎡まで50%の評価を減少させる効果があります。
    つまり、Aさんの土地は200㎡で8,000万円の評価ですので50%の4,000万となります。Aさんは同じ駐車場として活用する場合であっても、砂利や舗装しない駐車場とするか、アスファルト舗装などの駐車場にするかで、特例適用により半分の評価にすることが可能になります。


     それでは、マンションを建築した場合はどうでしょうか? Aさんは現金1億円を所有しており、その1億円で200㎡の土地にマンション建築を計画しました。建物の評価は固定資産税評価額から借家権割合を控除します。建物の固定資産税評価額は建築価額のおおむね60%ですので6,000万円になります(建築価格1億円×60%)。
    そこに借家権割合を控除して最終的な建物の評価額とします。借家権割合は、入居者がいることによる利用制限でどの都道府県でも30%となっています。
     したがって、建物の評価は4,200万円(6,000万円×(1-30%))となります。一方の土地は、駐車場のケースで説明した通り相続税の評価額は8,000万円です。さらに賃貸住宅の敷地ですので、借地権割合(70%と仮定)と借家権割合(30%)をかけた分を減少させられるので、おおむね80%程度の評価額となります。すると1億円の土地の評価額は6,400万円(8,000万円×80%)、さらにアスファルト駐車場と同じように小規模宅地の特例を適用できるので、最終的な評価額は3,200万円となります。それぞれのケースの遺産総額は下記のようになります。

    イ.砂利や舗装なし駐車場のケース
    現金1億円+駐車場8,000万円=1億8,000万円
    ロ.アスファルト駐車場のケース
    現金1億円+駐車場4,000万円=1億4,000万円
    ハ.賃貸マンション経営のケース
    建物4,200万円+土地3,200万円=7,400万円
    ※ロとハは小規模宅地の特例を適用

     どのように不動産経営するかで相続税の遺産総額がかなり変わってくるのがわかります。
     注意点もあります。いわゆる特例の50%の評価減はとても効果が大きいため、適用を受けようとして相続の直前で不動産賃貸業を始める方もいるからです。これについては、税制改正で3年以上不動産賃貸業を営んでいることが要件とされていますので注意が必要です。ただし、その事業が3年経過していなくても、3年以上前から本格的に不動産事業を行っている(事業的規模である5棟10室基準を満たしている)場合には、この特例は適用可能になっています。

     不動産経営は相続税対策のためだけに行うものではありません。建築する地域のニーズに合わせた賃貸経営をして、しっかりと利益が出るようにしていくことが最も重要になってきます。

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