2021年11月 消費税にインボイス制度導入~テナント大家さんに影響も~ | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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ワンポイント税務

  • 2021年11月号 消費税にインボイス制度導入~テナント大家さんに影響も~

    2021.11.20

        

    今回は、2023年10月から導入される「消費税のインボイス制度」について概説いたします。居住者用のアパート・マンションのみ賃貸している大家さんに影響はありませんが、一般的な知識として知っておいて損はありません。店舗や事務所向けに賃貸している大家さんの中には大きく影響をうける場合があるので注目してください。

     
     
     賃貸業を営んでいるAさんの事例で説明いたします。Aさんは1 階に3つの店舗と、2階3階を居住用に賃貸している建物を所有しています。1 店舗につき25万円の賃料なので計75万円と消費税75,000円を毎月徴収しています。店舗部分の年間賃料(課税売上高)は1000万円以下ですので徴収した消費税は税務署に収めていません。現行制度では認められている優遇措置です。ちなみにA さんのような方は免税事業者と呼ばれています。しかし一方で、Aさんのような免税事業者が納税しないで収受している消費税額について、税収の減少と課税事業者との公正性の観点から問題視されているのも事実です。
     
     3つの店舗の賃借人(テナント)が課税事業者であった場合は、商売上で受け取った消費税を税務署に納めることになります。その際にAさんに毎月払っている25,000円(年間30万円)の消費税分は、仕入税額控除として差し引くことができます。現行制度では、貸主のAさんが免税事業者であろうとなかろうと、賃貸借契約書に消費税課税の記述があり、銀行振込等の証明書があれば仕入税額控除ができます。

     しかし2023年10月のインボイス制度導入からは、この仕入税額控除は簡単ではなくなります。具体的には、貸主であるAさんから「適格請求書(インボイス)」という書類を受け取れないと、仕入税額控除が認められなくなります。適格請求書とは、一定の要件を満たした消費税の明細等が記載された書類です。つまり、年間30万円分の消費税を、今までより余分に納めなくてはなりません。テナントの消費税納付額を計算してみました。



     それでは困るので、テナントは当然のようにAさんに適格請求書の発行を求めるでしょう。しかし、Aさんが適格請求書を発行するためには課税事業者を選択して、毎年消費税の申告をして納税しなければなりません。その上で、税務署に適格請求書発行事業者として登録する必要があります。A さんは今まで免税事業者として収受していた消費税90万円(75,000円の12ヶ月分)を、まるまる手元に残すことができなくなります。つまり、課税売上に対応する仕入に係る消費税額を差し引いた金額を納付するか、あるいは簡易課税方式を採用して90万円の60%を納付することになります。

     ここでAさんも困ってしまいます。テナントの要望に応じれば、いままで得ていた収入の一部を失います。要望に応じなければ、テナントから賃料の減額を要求されるかもしれません。あるいは、賃料への消費税課税を見直すように要望されるかもしれません。拒否すれば最悪のケースでは解約という事態も起こりえます。さらにその後のテナント募集の際に、「適格請求書を発行できるのか」という問い合わせを受けるかもしれません。このような問題がインボイス制度導入によって起こるのです。Aさんは、これからの方針を決めるために税理士に相談することにしました。ちなみに、テナント賃料が年間1000万円を超えていて、消費税の申告及び納税を毎年おこなっている課税事業者の大家さんは、適格請求書発行事業者としての登録と、請求書の見直し等の実務対応のみで済みますのでご安心ください。



     導入は2023 年10 月1 日からスタートします。課税事業者の適格請求書発行事業者登録は本年10月1日から2023年3月31日までとなっています。免税事業者が当該申請を行う場合や、免税事業者等からの課税仕入れの計算については経過措置が設けられています。課税事業者となった場合には「簡易課税制度を採用するか」などの検討課題もあります。詳細については顧問税理士等の専門家へご相談されてください。

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