2024年2月 国籍を理由とした入居拒否は違法 齋藤 | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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  • 2024年2月 国籍を理由とした入居拒否は違法

        

    入居者の国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒絶したことについて、賃貸人が損害賠償を命じられた事例



    民間の賃貸物件において、賃貸人は、新たに入居申込みがあった場合に、申込者と契約を結ぶかどうか、また、どの申込者と契約をするかについて、原則的には自由に選ぶことができます。これを民法でいう「契約自由の原則」といいます。しかし、この原則とは、あくまでも対等な個人同士の契約を前提としたものです。実質的な平等を図りながらも、社会的・経済的弱者を保護するためには、契約自由の原則は修正(制限)されて、契約の締結において差別的取り扱いなどを行った場合は違法と判断される恐れがあります。この点が問題となるのは、賃貸物件において「外国人お断り」とする場合です。

    賃貸人側とすれば、契約自由の原則で、どの入居申込者と契約を結ぶかは自由に決められるのではないか、と考えるでしょう。そうであるとすれば、何らかの理由で外国籍を有する者と契約締結したくないとした場合に、断ることは可能であると考えられるかもしれません。しかし、外国籍であることを理由に入居申込みを拒絶した場合には、賃貸人が不法行為を問われる可能性があります。実際に損害賠償責任が認められた裁判事例(京都地方裁判所平成19年10月2日判決)を紹介します。

    この事例は、外国籍(韓国籍)の入居予定者が、自身が勤務する法人を賃借人として入居申込みを行い、仲介業者から入居審査が通ったと通知を受け、入居申込金や敷金・礼金16万円と前払い賃料など合計約47万円を支払いました。さらに、仲介業者から提示された賃貸借契約書にもサインして差し出しました。しかし、その段階で、賃貸人側から「住民票が用意できない方は入居を断っている。」と、賃貸借契約の締結を拒否されました。なお、入居予定者は、契約書へのサインの後に外国人登録原票記載事項証明書を提出しており、その直後に賃貸人側から契約の締結ができない旨の返答を受けています。以上の状況により、入居申込者(法人)と入居予定者は賃貸人に対して、韓国籍であるという正当でない理由で賃貸借契約の締結を拒絶したことは損害賠償義務を免れないとして提訴しました。

    賃貸人側は、
    「契約直前に外国人登録原票記載事項証明書が提出され,入居予定者が韓国籍であることを初めて知り、会社を賃借人とする契約形式がとられていたことや,必要書類の提出が遅れていたことなどから、入居申込者らが意図的に国籍を秘匿していたのではないかとの疑いを抱き、これでは信頼関係を築くことが不可能であると判断したことから,本件物件を賃貸しないこととした」などと反論しました。

    しかし、これに対して裁判所は、
    賃貸人は契約直前に入居者が外国籍であることを知ったこと、及び、入居者が外国人登録原票記載事項証明書を提出しているにもかかわらず、これが住民票ではないことを理由に本件物件を賃貸しない、としたことからすれば、賃貸人が賃貸しなかった理由は入居予定者の国籍〔すなわち、入居者が日本国籍ではなかったこと〕にあることは明らかである、

    と認定。その上で、
    賃貸マンションの所有者が、もっぱら入居申込者の国籍を理由に賃貸借契約の締結を拒むことは,およそ許されないと述べ、賃貸人には不法行為責任が成立すると判断し、入居予定者の損害金請求のうち、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の合計110万円の損害賠償を認めました。なお、賃借人となる予定であった入居者の勤務先の法人に対しても、「本件賃貸借契約の成立が合理的に期待される段階まで両者の準備が進んでいたにもかかわらず,合理的な理由がなく
    本件賃貸借契約の締結を一方的に拒んだものであって,信義則上,原告会社が被った損害を賠償する責任を負うものと解するのが相当である。

    と述べて、その責任を認めましたが、そもそも損害は発生していないとして、損害賠償の支払い自体は認められませんでした。

    以上のように、賃貸人において、外国籍であることを理由として賃貸借契約を拒絶した場合に、万が一、その後に訴訟等の紛争に発展した場合は、裁判所において不法行為に該当すると判断されるリスクがあるということになります。このことを、貸主さんには知っていただきたいと思います。したがって、賃貸物件の所有者としては、上記リスクがあることを認識し、入居審査においては、一律に国籍のみを理由とした入居拒絶と取られないように配慮し、もし入居不許可とする場合でも、収入や滞在期間や保証人の有無などを総合的に判断するように努めるべきといえます。

    弁護士北村亮典*この記事は、2023年11月20日時点の法令等に基づいて書かれています。

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