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賃貸法律相談室

  • 2023年10月号 改正民法の保証契約規定と施行後の更新実務

    2023/09/17

        

    改正民法の施行以降に賃貸契約が更新された場合に、従前の連帯保証契約には改正規定が適用されるのか?

     2020年4月1日に施行された改正民法の465条2第2項により、「保証人が負うべき限度額(極度額)を定めなければ保証契約は効力を生じない」と規定されました。したがって改正日以降に締結する賃貸借契約では、契約書に記載する保証人の負うべき極度額を、「●円」とか「月額賃料の●カ月分」としなければ、その保証の効力が生じないということになります。他方で、改正前に締結されていた賃貸借契約は、保証人の極度額について規定していないというケースが圧倒的に多いのが実情です。そのケースの場合、2020年4月1日以降に更新される賃貸借では、保証効力の扱いはどうなるのでしょうか? 賃貸借契約の更新では、保証人との間で新たに更新の書面を取り交わすことはなく、賃貸人と賃借人だけで更新合意書等の書面を取り交わすことが多いと思われます。また、自動更新条項が定められている場合は、更新合意の書面を取り交わすこと無く契約が更新されるのが一般的です。このため、改正日以降の賃貸借の更新の際には、賃貸人と賃借人と保証人との間で、新たに改正民法の要件を備えた保証契約(極度額の定めをした保証契約)を締結しなければ、更新後は保証の効力を失ってしまうのか? という問題があります。

    更新のたびに保証人との合意は必要か
     
     この答えを考える前に整理しておきたい論点があります。それは、賃貸借契約が更新される都度に、「保証人と改めて保証契約を締結する必要があるのか」という問題です。この点については、最高裁判所平成9年11月13日判決が、①原則として、改めて保証人と契約を締結しなくとも賃貸借契約更新後も保証人の責任は継続する、②例外として、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合や、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合は保証人の責任は継続しない、と判断しています。したがって、賃貸借契約の更新の際に、別途保証人と更新等の合意をしなくとも、原則として保証人の責任も継続するということになります。
     上記を確認したうえで、改正日以降に賃貸借契約が更新され、その契約書に極度額の定めがされていなかった場合でも保証人の責任が継続するのか、について考えてみます。この問題は、①賃貸借契約の更新の際に、保証人とは書面の取り交わしはしない場合(賃借人とのみ更新合意書を取り交わす、もしくは自動更新条項により契約が更新される場合)、②賃貸借契約の更新の際に、保証人とも改めて保証契約の取り交わしをする場合、の2つのケースに分けて考える必要があります。
     
    新たな合意なければ適用されない

     まず①の場合は、更新時に新たに保証人と契約をしなくとも、前述の最高裁判例の解釈に基づけば、当初の保証契約の責任の効力が更新によっても失われず、そのまま継続するものと解されます。改正民法施行後の更新契約では、保証契約に関して「新たに」合意をするものでもありませんので、改正民法の適用は受けずに極度額を別途定める必要もない、というのが法務省の見解のようです。また、同様の判断をした裁判事例として、東京地方裁判所令和3年4月23日判決があります。
     次に②のように、保証人と改めて保証契約の取り交わしをする場合は、改正民法施行後に「新たな」保証に関する合意があったといえるため、保証契約は改正民法の適用を受けることになります。したがって、保証契約の更新で極度額の定めをしなければ保証は無効となってしまい、保証人の責任は継続しないということになります。
     
    合意(自動)更新、法定更新のケースは?
     
     以上を踏まえると、改正民法の施行日以後の賃貸借契約の更新においては、保証人から何かしらの書面にサインを貰おうとすると、改正民法の規定が適用されるので注意が必要です。なお、上記は、賃貸借契約が「合意更新及び自動更新」された場合です。改正民法の施行日以後に賃貸借契約が「法定更新」された場合(更新の合意もなく、自動更新条項も定められていなかった場合)はどうなるのか、という問題もありますが、この場合についても、前述した東京地方裁判所令和3年4月23日判決が、合意更新の場合と同様に、原則として保証人の責任は従前と同様に継続するという判断をしています。

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