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2021年1月 2021年の業界展望を語り合う

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  • 2021年1月号 2021年の業界展望を語り合う

        

    新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に明け暮れた2020年が終わりました。2021年はどんな1年になるのでしょうか。週刊誌やビジネス誌に執筆するライターのA記者と不動産業界向け新聞のB記者、不動産ネットメディアの編集を手がけるC記者の3名で2021年の賃貸住宅業界を語ってもらいました。業界通ならではのリアルな展望が語られました 。



    2020年は東京五輪・パラリンピックの延期、8月の安倍晋三前総理の退陣から9月の菅義偉新総理誕生まで、ニュースには事欠きませんでしたが、賃貸住宅業界にとってはコロナの影響が大きかった1年でした。

    大学や専門学校がリモート授業を取り入れた影響で下宿先を引き払ってしまう学生が増えました。今も学生街は閑散としていますが、本当に恐いのは2021年4月の新入生が一人暮らしをするのかどうかです。文科省は対面授業を推奨していますが、学校側が乗り気でないところが多いようです。4年生が退去した後に、新1年生が入ってこないというような影響が心配されます。

    集団感染があった大学へのバッシングは凄かった。学校側が及び腰になるのもよくわかります。体育大学まで実技をしないでレポート提出で単位を出すらしいですし、学校は可能な限りオンラインを進めていくことになるでしょうね。学生寮の密を避けて、民間賃貸住宅を借上げる学校などもあって、新しい需要も生まれているようですがそれもまだ一部だけです。今から対策をとっておきたいですね。

    でも一人暮らしをしたい学生はいるでしょう。管理会社が入居している学生向けの食堂を作ったりした例もあるよね。

    いかに親が安心する仕組みをつくるかが学生獲得のポイントになると思います。管理会社は知恵を絞っていますが、2021年は熾烈な入居者獲得競争になりそうですね。



    コロナの影響では「非接触での賃貸仲介」に注目しています。民間会社の調査だと不動産会社の85%くらいは在宅勤務をやっていないそうです。一方でzoomなどのリモートワーク用のツールは70%以上の企業が導入しています。少し様子見だった会社が2021年から本格的に非対面での接客などを取り入れだすのではと、私は予想しています。

    脱ハンコの動きも加速しています。政府を挙げて電子契約を推進していますからね。法改正も含めて進んでいくようなら、賃貸住宅の現場でも一気に普及するかもしれません。一方で、地面師みたいな「なりすまし」もでてくるでしょう。新しい技術で、いつ、誰が、どうやって手続きしたかを明らかにできる仕組みを作っていかないといけません。

    賃貸借契約は時間も手間もかかるから、そのコストが軽減されるのに反対する人はいないでしょう。でも、貸したマンションが特殊詐欺の拠点や、偽造クレジットカードの受け取りに使われていたなんてことが、現実にあるから怖い。テクノロジーの力をどこまで信用していいのかは気になる。

    テクノロジーで言えば、私は入居者管理アプリに注目しています。入居者への注意事項を一斉に通知したり家賃の未入金だけに遅れを通知できたりするなど、賃貸管理のこまごまとした作業を自動化できます。一回、導入すると便利すぎて止められないみたいですね。

    管理ツールでは、入居者とコミュニケーションがとれるチャット機能がとてもいいです。実は長期入居してもらうには管理会社や大家さんとのコミュニケーションがとても重要というデータがあります。例えば、鍵の回転が悪いとか、わざわざ電話するまでもない小さい不満ってありますよね。そういった小さい不満が積もり積もって、あるタイミングで退去につながっていくようです。ある管理会社によると入居者の約20%の退去はこういった小さな不満が理由だったとか。この不満をガス抜きする意味でチャット機能は有効ですね。

    聞く耳を持つことが重要なわけだね。入居者とコミュニケーションをとると、いろいろと要求されてやぶ蛇になるというのはもう古い考えなのかもしれない。


    入居者の獲得という意味では人気設備も変わっているようだね。ここ数年はネット通販の普及で宅配ボックスのニーズがとても高くなっている。だけど、場所がなくて設置できないというオーナーも多いようです。

    Yper(イーパー・東京)という会社では、居室ごとに使える袋型の置き配ツールを開発しました。鍵付きの袋をドアノブに引っかけて使うので、工事の必要がない手軽さが評価されています。万が一の盗難に備えて保険にも入れるし、配送状況をスマホアプリで管理できます。入居者に購入してもらうことで大家さんにお金が落ちる仕組みもあります。管理会社やオーナーからの問い合わせも急増しているようですね。

    設備の導入で役立ちそうなのが、スマサテ(東京)という会社が開発したAI家賃査定です。物件周辺の相場を知ることができるサービスで、所有する物件のデータを入力すれば、周辺物件と比較した推定家賃を教えてくれます。「この設備があるので1000円をプラス」といったことが分かる家賃査定の根拠も表示されるので、それを基にして次の設備導入を考えてみてもいいでしょうね。管理会社向けに賃貸経営の改善案を作るために利用されていますが、無料で使えるプランもあるので大家さんも使えます。月間1万件以上の査定件数があるようで精度も高いですからね。

    時代の風を感じるな。そういう意味ではリース(東京)という会社がやっている「smeta」(スメタ)というサービスはフリーランスとかUber EATS配達員のようなこれまで与信が低かった人向けの家賃債務保証なんだ。「smeta」で与信審査をして、「家賃いくらまでなら保証できる」ということを事前に照会してくれるから、この情報をもとに不動産で部屋探しができる。仲介や管理会社にとっても審査落ちが防げるから、こういう動きはいいと思う。

    孤独死についても見守りなどでIoT機器やスマートカメラの活用が期待されています。賃貸業界の課題解決に役立つテクノロジーにはアンテナを張っておきたいですね。


    賃貸管理業務の適正化のために作られた賃貸住宅管理業法が2020年12月15日に施行されました。所管する国交省への登録制度の加入会社には「業務管理者」の設置が義務づけられます。将来的には賃貸不動産経営管理士が登録要件の1つになると言われています。賃貸不動産経営管理士は、今は民間資格ですが、将来的には国家資格化が確実視されていて、管理会社の社員だけでなく大家さんの中にも勉強する人が増えたみたいですね。 2021年は賃貸管理のプロフェッショナル化に拍車がかかると思います。

    そういう影響もあったのかな。2020年の賃貸経営管理士試験はかなり難しくなっていたと受験者から聞いた。でも、賃貸管理の大切さがクローズアップされるようになってきたことは良いことだと思う。社員向けにも賃貸経営管理士の資格保有者には特別手当を払う会社も増えていると聞いたよ。

    法改正や制度変更で新しいサービスも増えています。2020年4月の民法改正で、それで曖昧だった原状回復費用の負担を明確化しました。大家さんの負担が増す可能性がでてきたことで、原状回復費用の保証サービスが増えています。大家さんは毎月数千円の定額費用を支払うことで原状回復が発生しても、その費用を保証してもらえるわけです。こういうサービスを提供する会社は2021年も増えると思います。

    コロナの影響で賃貸住宅経営はとても大変な状況と言われていますが、実は他の業種に比べれば、まだ影響は少ないほうです。外食や旅行、航空関連はもはや壊滅的な状況ですからね。不動産投資のコンサルタントによると2020年の夏頃から他業種の経営者から「賃貸住宅経営を始めたい」という問い合わせが増えたそうです。

    不況になるほど賃貸住宅ビジネスの底堅さは生きる。2021年は明るい話題が増えて欲しいですね。

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