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    概算要求と定期借家契約から読み解く、賃貸制度の転換点
    賃貸経営は「制度を味方につける」時代へ



     国土交通省の令和9年度予算概算要求が8月末に出そろ いました。
    毎年8月末、各省庁は翌年度予算の要求内容を「概算要求」として財務省に提出します。
     国交省の要求総額は過去最大規模となり、防災・物価高対応に加え、
    既存住宅ストックの活用が住宅政策の重要テーマとして位置づけられました。
    なかでも、賃貸住宅市場を管轄する住宅局分は前年度当初比で約2.5倍と大幅に拡充されており、
    まだ要求段階ながら、国の重点分野を占う手がかりになりそうです。
    賃貸経営に関わる3項目を見ていきます。

     1つ目は、空き家をリフォームして賃貸に転用する事業者向けの低利融資の新設案です。
    空き家は担保評価が低く資金調達が難しいという課題に対応するもので、
    住宅金融支援機構が融資を担う方向です。
    自治体と連携し、子育て世帯向け住宅を提供する事業者を優先する案もあるようです。
    個人が直接使えるかは未確定ですが、周辺の空き家活用が進めば需給にも影響しそうです。
      2つ目は既存ストックの省エネ改修支援です。
    脱炭素対策全体に3,030億円が要求され、
    断熱改修など既存物件の性能向上支援もかなり強化される見込みです。
    改修できれば光熱費の低い賃貸住宅として家賃アップや空室対策の訴求材料になりそうです。
    補助率や対象要件はまだ固まっていないので、これからの方向性にも要注目です。
      3つ目は住宅セーフティネット機能の強化に1,031億円が要求されたことです。
    高齢者や子育て世帯向けの登録住宅制度が柱となっており、
    空室を登録すれば改修支援の対象になりそうです。
    以前から、家賃滞納や孤独死への不安から敬遠するオーナーも多く、
    保証会社等との連携を前提としつつ、住宅を借りにくい層への支援が手厚くなりそうです。


     空き家、省エネ、住宅セーフティネット。
    別々の施策に見えて 、共通するのは既存住宅を使えるストックにアップグレードする発想です。
    賃貸オーナーは補助額だけでなく、対象物件や入居者要件まで確認して投資判断したいところです。
     詳細は来年4月以降順次公表される見通しで、こちらでも続報をお伝えしていきます。


     全国的に金利や資材価格、人件費の上昇が続くなか、賃貸住宅の経営環境は不安定さを増しています。
    こうした状況を受け、将来の家賃上昇を見込んで契約のあり方そのものを見直す動きが
    「定期借家契約」という形で広がりつつあります。
     不動産専門誌の記者は語ります。
    「金利、修繕費、原状回復費、清掃費と、賃貸経営のコストが軒並み上がっています。
    こうした中、再契約のタイミングで賃料を見直しやすい定期借家契約が都市部を中心に広がっているのです。」

     定期借家契約は、期間満了とともに契約が終了し、住み続けるには貸主・借主双方の合意による「再契約」が
    必要になる仕組みです。普通借家契約のように自動的に更新されるわけではありません。


    大手ポータルサイトLIFULLHOME'Sの調査によると、
    2025年の東京都の掲載シェアは9.3%で3年前より3.6ポイント上昇し、
    東京23区では9.5%に達しました。
    渋谷区は18.1%と都内最多で、都心部を中心として急激に増えていることがわかります。
     背景には、普通借家契約では賃料の値上げに借主が同意しなければ
    調停・訴訟が必要になるのに対し、定期借家契約なら再契約時に新賃料を提示し、
    同意がなければ所定の通知手続きを経て契約満了で終了する仕組みがあります。
    借賃の増減は特約の定めに従う点も、実務上のメリットといえます。
    都内の不動産情報会社の幹部は「一方、事前説明書面の交付義務など普通借家にはない手続きがあり、
    入居者に敬遠され成約に時間がかかる可能性もあります。
    長く住んでもらうには、初回から適正な賃料を提示し、
    値上げ幅の目安を持っておくといった工夫が鍵になりそうです。」
    と語ります。
    現時点は都心部が先行していますが、当初は都市部発だった動きが地方に広がった例もあり、
    今後の広がりも視野に入れておきましょう。
     

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