業界ニュース
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2026年9月 賃貸業界ニュースから
民泊規制と空き家税から読み解く、制度変更の新潮流
不動産は「持つだけ」では守れない時代へ
① 民泊―3省庁が「ゼロ日規制」を明確化
観光庁、国土交通省、厚生労働省は7月15日、全国の自治体に対し、民泊(住宅宿泊事業)に関する通知を連名で発出しました。
住宅地の居住環境や学校周辺の教育環境が損なわれる場合、条例で営業日数の上限を「0日」に設定し、民泊を事実上禁止できることを明確にしました。
住宅宿泊事業法に基づく民泊は日本全国で年180日を上限に営業できますが、騒音やごみ出しをめぐる住民トラブルが各地で相次いでいました。
国はこれまで、観光立国の旗印のもと「ゼロ日規制は適切ではない」との立場をとってきましたが、今回の通知で姿勢を大きく転換。
新規参入の禁止にとどまらず、居住環境への著しい弊害など強い必要性がある地 域では、既存施設についても一定の猶予期間を設けたうえで、 禁止や営業制限が可能としました。
あわせて、騒音計やカメラの設置といったICTによる管理体制を条例で義務付けることも可能だと明確化しました。

制度は異なりますが、民泊をめぐる規制強化の背景に、大阪市の特区民泊がありそうです。
営業日数に制限のない特区民泊が全国の9割以上も集中している大阪市では、住民からの苦情が年約400件に達し、2026年5月に新規申請の受付を終了しています。
現場の空気も変わりつつあります。
東京都内で民泊運営の代行会社の社長は「数年前から悪質な運営を行う業者が増えた。条例をつくっても悪質業者はそれを守らない。
自治体 も昨年頃から営業許可を取り消す厳しい措置をとるようになったが、増加のスピードがそれに追いついていなかった。 営業を一切禁止するゼロ日規制を導入する自治体も出てくるでしょう」と話します。
オーナーが注目すべきなのは、民泊が「後から制度でストップがかかる事業」になったという点です。
空室対策や利回り向上策として民泊転用を検討している場合、立地する自治体の条例の動向次第では、投資回収の途中で営業できなくなるリスクを十分に織り込む必要がありそうです。
すでに民泊を運営中であっても、地域の規制論議には注意が必要となりました。
民泊への投資判断は、これまで以上に慎重に行うことになりそうです。
「流通しない空き家」に新たなコスト
―寝屋川市が空き家税を可決
大阪府寝屋川市議会は7月9日、「空き家流通促進税」条例 を全会一致で可決しました。
居住実態がなく、賃貸や売却な どの市場流通にも乗っていない空き家を主な対象とする制度です。
京都市に続く空き家課税の動きとして、他の自治体への 波及が注目されます。
なお、課税が直ちに始まるわけではなく、施行日は総務省との協議や必要な手続を経て決定されます。
税額は、空き家の固定資産税額などを基準に算定される仕組みで、見込まれる約1億4000万円の税収は解体費の補助や地域の安全対策に充てられます。
市長は「税収の確保が 目的ではない」と明言しているそうで、狙いはあくまで所有者 の行動変容にありそうです。
大阪府内の不動産会社は「2025年の転入超過数が53年ぶりの最多となり、注目されている。
人口流入が増えている一方で新築用地が乏しく、市内に数千戸あるという空き家の活用が急務となっているという背景もありそう」と語ります。
賃貸募集や販売を開始してから1年間は課税されませんが、 長期間成約せず空き家の状態が続く場合は、課税対象となる可能性があります。
事業用として使う場合や、所有者の死亡などで空き家になった場合の3年度分の課税免除など、事情に応じた免除規定も設けられています。

全国紙の記者は「京都市は観光地への人口回帰という文脈で空き家税を構想したが、寝屋川市は住みたい人がいるのに住む家がないという需給のミスマッチ解消を正面に据えている。
人口減少下でも局所的には住宅が足りないということは起きていて、首都圏近郊や地方中核市の周辺でも珍しくなく、同種の課税が広がる素地は十分にありそうだ」と予想します。
記事執筆時点ですでに神戸市なども検討を進めていることが報じられています。
固定資産税の住宅用地特例などで、壊さず持ち続けることを 有利にしてきた戦後の税制に対し、寝屋川市の新税は、市場に流通しない空き家に追加負担を設け、売却や賃貸などの行動を促す制度です。
空き家問題はいよいよ流通の問題に発展してきたとも言えます。
この転換が全国標準になるのかは、不動産オーナーにとっても見逃せない論点です。


