業界ニュース
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2026年7月 賃貸業界ニュースから
迫り来る有事への備え
激変する「空室の価値」と「火災保険」の最前線
①空室が「地域の備え」になる時代へ 賃貸オーナーに求められる新たな役割
空室は、賃貸オーナーにとって悩みの種です。
家賃収入がなく維持費だけがかかるため、早期入居を望むのは当然です。
ただ近年、その意味が変わり始めています。
国の災害時住宅対策の調査では、民間賃貸住宅が「災害時の住まい」として重要な役割を担うよう
運用体制の整備が求められています。
国や自治体は、南海トラフ地震や首都直下地震を見据え、不動産団体との協定、契約条件の整理、
供給可能な住宅の把握、事務処理体制の整備などを平時から進める必要性を打ち出しました。
つまり、「災害時に空いていれば借りる住宅」から、「被災者の生活再建を支える受け皿として、
あらかじめ住まい確保策に組み込まれる住宅」へと位置づけが変わりつつあるのです。
実際に能登半島地震では、被災者が自ら探して一般の賃貸住宅へ入居した後に、
行政による賃貸契約へ切り替えるケースも多く見られました。
現場では迅速な住まい確保のため賃貸住宅が重要な受け皿になりました。
また、避難所生活の長期化を防ぐうえで、既存の賃貸住宅が果たす役割の大きさが認識されています。
もちろん善意だけで済む話ではありません。行政が決める家賃設定には上限が設けられる場合があり、
契約条件や原状回復、退去後の修繕負担など、オーナーとして確認しておきたい実務上の論点もあります。
一方で、行政との契約という安心感はあり、空室活用につながる可能性もあります。
人口減少が進む中、空室は、負担やリスクとして語られがちです。
しかし、災害大国である日本では、その部屋がいつか誰かの生活再建を支える場所になることを
見逃してはいけません。
国の調査からも、賃貸住宅が普段は入居者の暮らしを支え、有事には地域の生活基盤を支える存在になることが認識されています。
賃貸オーナーの存在は、今後も見直されていくでしょう。
空室の見方が変わる時代へ
これまでの空室
家賃収入なし
維持費だけ発生
早く入居者を決めたい
⇓
これからの空室
災害時の住まい
被災者の生活再建を支える
地域の備えになる
②まさか「保険に入れない」とは?
火災保険の異変が賃貸住宅に迫ってくる前に
マンションの火災保険に異変が起き始めています。
保険に入りたくても、これまで通りに入れないマンションが出始めているのです。
ここ数年、火災保険料は右肩上がりで上昇しています。
しかし、問題は保険料の上昇にとどまりません。
保険更新時に「希望する補償内容では引き受けてもらえない」「補償範囲を削らなければ契約できない」
「複数社に断られた」といったケースが話題になり始めています。
異変が起きているのは、主に分譲マンションの管理現場です。
特に築年数の古いマンションや水害リスクの高い地域ではこうしたケースが増加しており、
報道でも取り上げられ始めました。
マンション管理にとって火災保険は、漏水事故や自然災害に対応するうえで欠かせない存在です。
その保険が十分に確保できなければ、マンション管理や修繕計画そのものにも影響しかねません。
背景にあるのは、災害の激甚化です。
大型台風、線状降水帯による豪雨、水害、雪害などが相次ぎ、損害保険会社の保険金支払いは増加しています。
火災保険分野では長年赤字が続いているとも言われ、保険会社側も採算悪化に直面しています。
その結果、保険料の値上げだけでなく引受条件の厳格化や補償内容の見直しが進んでいます。
災害増加と保険会社の採算悪化という構造的な問題のため、この流れは分譲マンションだけの話では済まない可能性があります。
今後、築古物件や木造物件を中心に、賃貸住宅でも保険料の上昇、補償範囲の見直し、引受条件の厳格化が広がる可能性があります。
対応策としては、免責金額の見直し、不要な特約の整理、立地ごとの災害リスクを踏まえた補償内容の最適化などが考えられます。
火災保険は「入っていて当たり前」の時代から、「どう備えるかを考える時代」へ変わり始めています。
分譲マンションで顕在化した問題は、数年後の賃貸住宅の姿かもしれません。
火災保険更新前に確認したい5つのポイント確認項目 見直しのポイント ①免責金額 自己負担額をどこまで許容できるか ②不要な特約 物件に不要な補償が付いていないか ③水災補償 立地やハザードマップに合っているか ④過去の事故履歴 漏水・風災などの請求履歴を把握しているか ⑤更新時期 直前ではなく早めに比較・相談しているか


