業界ニュース
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2026年2月 賃貸業界のニュースから
2026年賃貸住宅業界展望 AI活用の加速と「所在把握」強化、修繕危機の三重奏
2026年、賃貸住宅業界は「便利になる」だけでは語れない転換期を迎えます。
現場ではAI活用が一気に実務へ入り、制度面では所有者の所在把握が厳格化。さらに修繕・工事は”お金を出しても頼めなくなる"ことが現実味を帯びています。
オーナーが抑えるべき変化を3つに整理します。
① AIは”検索補助”から”提案の中枢へ”
生成AIは生活者の33.6%が利用し、10代では62.6%と6割超。若い世代ほど「条件入力で探す」より「事情を伝えて最適解を出してもらう」体験に慣れていきます。
住まい探しでも、対話しながら候補を絞り込み、比較表を作り、意思決定まで支える仕組みが標準になっていくでしょう。
LIFULLは統合型AIエージェント「LIFULL AI」を打ち出し、対話型探索アシスタント「AIホームズくん」などを実装。物件検索の入口にとどまらず、暮らし方・通勤通学・将来の変化まで含めた”文脈”で提案する方向へ進化します。
賃貸管理でも、募集条件の見直し、問い合わせ一次対応、内見前案内文、オーナー向け提案書の下書きなど、属人化しやすい業務ほど効果が出やすいはずです。
鍵は「導入」ではなく、定型化できる工程の切り分けと、用語・粒度・禁止表現など入力ルール整備。合わせて、物件情報・設備履歴・クレーム履歴といった”現場データ”を整えるほど、提案品質もスピードも上がります。
■ 事業用不動産でもAIが進み、2026年にかけて本格展開へ
三井物産は業務効率化プラットフォーム「AIDeeD」を開発し、2024年から実証を進めています。
売却予定物件に紐づく多数の資料ファイル整理や要約・資料化を支援し、作業時間を大幅に短縮できたとされています。
2026年にかけて本格展開が見込まれ、資料作成・チェックの時間を、提案や交渉など”人が担うべき部分”へ振り向ける流れが強まります。
オーナー側は、管理会社に「どこを省力化し、どこで品質を上げるか」を確認し、成果指標(反響・成約率・提案リードタイムなど)をセットで握ると、AIが”使える仕組み”として定着します。
② 制度面は「外国人規制」より先に、所有者の所在把握が厳格化
2026年4月1日以降、住所・氏名・(法人は本店・商号等)に変更があった場合、原則として変更日から2年以上の変更登記申請が義務。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の可能性があります。
さらに、義務化前の変更で未登記の者も対象になるため、早めの棚卸しが重要です。所在不明の増加は、災害対応・修繕判断・相続手続きの遅延に直結します。
転居・改姓・法人移転・代表者変更などのタイミングで、登記更新と連絡先更新をセットで運藤し、”連絡が取れる状態”を維持することが、リスク管理の基本になります。
③ 最大の経営リスクは大規模修繕 ――「枠が取れない」時代へ
建設業の人手不足に加え、猛暑や残業規制の影響で、工期や確保できる職人の数が読みづらい環境が続きます。
公共工事や大型案件が優先され、民間小規模案件は後回しになりやすく、2026年は”金額”だけでなく”発注枠を押さえられるか”がボトルネックに。対策は、
① 修繕計画の前倒し
② 予防保全(定期点検と軽微修繕の早期実施)
③ 複数社での早期見積もり
④ 資金手当(修繕積立・融資枠確認)
雨漏り・給排水・外壁防水などは大規模工事に発展しかねないため、早期発見・早期対応が鉄則です。
修繕の遅れは入居者満足だけでなく、事故・退去・空室ロスにもつながります。
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2026年は、AIの進化と制度・供給制約が同時に強まる年。
今のうちに「省力化する業務」「情報更新の段取り」「修繕の発注枠確保」を前倒しで整えることが、賃貸経営の安定度を左右しそうです。
年初のタイミングで管理会社と、募集戦略・修繕計画・登記/連絡先の更新状況を棚卸しし、”手を打つ順番”を決めておくと安心です。
大規模修繕は相見積もりと発注枠の確保を早めに動かすほど、選択肢が広がります。


