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空室対策
2020年5月田中 コロナで発生する家賃滞納について考える

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  • コロナで発生する家賃滞納について考える

        

    仕事を失った入居者を救う救済制度とは

     新型コロナウィルスは不動産賃貸業にも影響を及ぼしています。LIFULL(ライフル・東京都千代田区)が実施した「コロナに対する不動産会社の意識調査」では、賃貸仲介、管理ともに約70 %が、現時点で“企業活動に影響が出ている” と回答しています。具体的には、仲介・管理共に「来店者の減少」が最も多く、次いで「内見者の減少」「問合せの減少」「売上の減少」「マスクなどが確保できない」と回答していて、新型コロナの影響が既に出ていることが分かりました。

     今後については、仲介、管理とも約90 %の不動産会社が“影響が心配”と回答、お客様と対面するので「社員への感染」については50%超が心配していると回答しています。新規顧客の減少は事業継続に関わる不安要素ではありますが、大家さんにとってもっと深刻な問題となるのが家賃滞納です。ある大家さんから、「リーマンショックのようにならないと良いけど…」と心配の声を聞きましたが、まさにその通りです。2008 年9 月に起きたリーマンショックに端を発した不況を覚えている大家さんも多いのではないでしょうか。

     この年は、リーマンショックの影響で派遣契約の打ち切りが多数発生し、派遣会社からの解雇・雇い止めで仕事を失った非正規雇用者が多数発生しました。いわゆる「派遣切り」という言葉が広まりました。家賃が払えず住む場所を失った人のため、日比谷公園に「年越し派遣村」が誕生し、炊き出しに並ぶ人たちの様子がマスコミで多く報道されました。実際に家賃を滞納する人が増え、督促のために電話を掛けると「職を失って収入がなくなったので待って欲しい」と言われるなど、管理会社として辛かったことを憶えています。

     国もその状況に対応するため、2009 年10月に厚生労働省が「住宅手当緊急特別措置事業」を開始、全国の市区町村を窓口にして、住む場所を失った人や失う恐れのある人に最長6 か月間の住宅手当を支給開始しました。

     当時の管理会社には、住宅手当を受給するため、代理納付の書類に印鑑を求める入居者さんが直接お見えになっていました。郵送では遅くなるので、一刻も早く手続きしたかったのでしょう。各自治体から振り込まれる住宅手当の金額が家賃の満額に足りない場合は、その差額が入居者さんから振込まれるため、管理会社は両方を合算して大家さんにお支払いしていました。この制度を利用している入居者さんが複数いらっしゃると、自治体の入金が誰の分なのか分かりにくいため、多くの管理会社が悩んだことと思います。当時は、失職して家賃が払えない状況でこの制度を知らない方には、物件所在地の自治体の福祉担当部署に相談するように勧めていました。申請から支給開始まで時間がかかるので、入居者さんの貯金が尽きる前に支給が始まるためには、早め早めに動かなければなりませんでした。

     では、新型コロナで同じような状況に陥りそうな今、同様の国の制度は無いのでしょうか? 実は、あるのです! それは、厚生労働省の実施している「住居確保給付金」です。

     この制度は、職を失って生活保護受給者になってしまう人を減らし、自立を支援するためのものであり、一時的に家賃が支払えなくなった人に、家賃相当額を一定期間助成するものです。リーマンショックの教訓から出来た住宅支援給付制度を引き継ぐもので、平成27年4 月に施行された生活困窮者自立支援法に基づく制度の一つです。申請するためには、年齢、世帯収入、貯蓄額、本人が主たる生計維持者であること、ハローワークで求職活動を行うなど、満たすべき要件がいくつかあります。支給期間は原則3か月間ですが、就職活動を誠実に行っている場合は3か月ずつ最長9か月まで延長可能です。

     これから先、入居者さんで職を失うような方が出てしまった場合、その方の貯金が尽きてしまう前にこういう制度を利用できれば、就職活動のための時間と心の余裕が生まれ、滞納が発生したり、退去に繋がらなくて済むかもしれません。実際に前述の制度を利用した入居者さんの多くは、生活保護受給者になることもなく、悪質な滞納者になることもなく、新たな就職先を見つけたり、安い物件に引っ越したり、実家に帰るなどされていました。賃貸経営は入居者さんの家賃がきちんと支払われることで成り立っています。入居者さんが緊急事態に陥ってしまった時に暮らしを立て直すアドバイスができるよう、しっかりと体制を整えておきたいと思います。

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