2023年12月 管理スタッフからの現場レポート 齋藤  | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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  • 2023年12月 管理スタッフからの現場レポート

    2023/11/11

        

    高齢者一人暮らしのリスクを回避する方法は?

     先日、同業の賃貸管理スタッフの集まりがあり、参加者の一人から以下のような報告がありました。

     築25年の木造アパート(和室6、洋間6、DK6)に新築から入居されたご夫婦がいる。ご主人58歳、奥様56歳、二人とも元気で収入もしっかりしていた。しかし、入居後14年目に奥様が亡くなり一人世帯となる。そして2023年の秋に、ご主人が寝具の中で亡くなっているのが発見された。死因は病死で83歳だった。発見が亡くなって7日後だったので、大家さんと相談の上、つぎの募集では家賃を1割下げて「告知事項あり」とすることになった。大家さんは事故物件となることを懸念して「高齢者の一人暮らしの方には貸さない」という方針だったが、今回の事情では防ぐことはできなかった。「管理会社はどう対応したらいいのでしょうか」

     今回は「高齢者の入居問題」について考えます。
     2年ほど前のNHK「クローズアップ現代」では、事故物件や孤独死を何回か取り上げていました。当時は新型コロナによって、その数が増加傾向にあったからでしょう。番組で紹介された大家さんが、所有アパートの一部屋が事故物件となったときの顛末を説明したあと、「2度と経験したくないので高齢者には貸しません!」と話していたのが印象的です。この番組でいくつかのキーワードが示されましたので検証してみます。
    「4人に1人が65歳以上」
     日本は高齢化に突き進んでいます。令和3年10月のデータでは、総人口の28.9%が65歳以上となり、すでに4人に1人を超えています(内閣府)。65歳以上が3人に1人となる日も遠くありません(2036年という予想あり)。60歳以上の持ち家比率は79.8%(2018年の住宅・土地統計調査)ですから、2割の方は賃貸で暮らしていることになります。お部屋を供給する貸主側からみると、“借り手”というマーケットが増え続けることになります。空室の長期化による収益の悪化に悩む大家さんにとって、無視できない市場であることは確かです。
    「事故物件に住みたくない人は7割以上」
     一方で、ひとたび事故物件となると借り手が極端に少なくなるのも現実です。事故物件とは、「殺人や自殺などで人が亡くなった部屋」を指しますが、その中に「病死や自然死で発見が遅れたケース」も入るとされています。高齢者の一人暮らしは「その可能性が高い」と考えられて敬遠されるのですね。では実際はどうでしょうか? 実は、孤独死の全国的な統計データはありません。そこで、一般社団法人日本少額短期保険協会の孤独死対策委員会が2022年に発表したデータを参考にしてみます。ちなみに、この委員会は、孤独死に関する認知・啓蒙活動を行っている団体だそうです。その調査によると、孤独死で亡くなった方の平均年齢61.9歳、死因の66.8%が病死、60歳以上の割合60.8%、70歳以上の割合29.9%となっています。60歳以下の割合が4割で60歳以上が6割ですから、やはり高齢者に多い、という認識に間違いはないようです(個人的には想像したより顕著でないと思いましたが)。ここで課題となるのは、「いかに事故物件としないか」という仕組みやルール作りですね。万一に対応してくれる近隣在住の近親者の身元引受けを条件とする、地域の福祉活動関係者や地域住民と協力して「見守る態勢」をつくる、セコムやAI機器の活用で異常事態をリアルタイムで把握する、新聞や高齢者向け弁当などの毎日宅配システムによって訪問回数を増やす、などの方法が、前述の管理スタッフの集まりでも報告されていました。工夫する余地がない、というわけではありません。
    「高齢者4人に1人が入居拒否を受けた経験」
    「大家さんの約8割が高齢者に拒否感を持つ」

     高齢者の一人暮らしが敬遠される理由は「孤独死の不安」だけではありません。年金のみの収入で貯金も減る一方なら家賃の支払いにも不安があります。認知機能の低下によって生活に支障をきたす、という問題もあります。これらの複合的な不安から、高齢者の入居に拒否感をお持ちの大家さんが多いのです。一方で、家賃支払いの心配なら、高齢者に対応している保証会社を利用することで取り除くことはできます。近親者とのダブル保証でもよいと思います。認知機能については、いざという事態には近親者の身元引受人に頼ることになるでしょう。こちらも策がまったくないわけではありません。
     空いてもすぐに決まる物件なら、高齢者に目を向けなくてもいいと思います。しかし、絶対的な供給量が需要を上回っているのが現実で、築古や立地条件が不利な物件は対策が必要ですが、家賃の値下げや使える経費も限られています。増加する高齢者マーケットは、ひとつの選択肢に間違いはありません。ただし、リスクを理解したうえで回避策をしっかりと検討する必要があります。

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