2023年11月 更新契約実務と”よい賃貸経営”の関係は? 伊禮 | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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賃貸経営塾

  • 2023年11月 賃貸経営塾 収益最大化のための!更新契約実務と”よい賃貸経営”の関係は?

    2023/10/22

        

    Q:親から築20年の賃貸マンションを相続した新米大家です。私の地域は「自動更新」という慣習らしく、私が引き継いでから借主さんとお会いして更新契約をしたことがありません。話に聞くと2年ごとに更新の合意文書を取り交わす地域もあるようですね。借主さんと定期的にお会いする機会もあった方がいいとも思うのですが、賃貸経営と更新の関係について教えてください。

    A:賃貸借契約の更新は、「自動更新」と「合意更新」の2つの地域に分かれます。自動更新とは、契約で「〇年ごとに自動で更新する」と定められていて、更新作業は行わず金銭の授受もありません。合意更新は「〇年ごとに合意して更新する」となっていて、契約期限になると貸主と借主で合意文書を取り交わします。その際に「更新料」という名目で、借主から貸主へ、合意した新家賃の1カ月分が支払われるのが一般的です。地域別では、首都圏や京都・滋賀などが合意更新で、それ以外は自動更新とされますが、他にも合意更新の地域は点在していると思います(〇の部分は2年となるのがほとんどです)。

     

    それぞれのメリット・デメリットは
     
     自動更新と合意更新は貸主さんにとって、それぞれメリットとデメリットがありますね。合意更新のメリットの1つめは更新料という収入です。2年ごとに家賃の1カ月分の収入は大きいですよね。空室が増えて市場が借主優位となる中でも、まだ更新料への関心が低いのか、「礼金ゼロ」という条件と比べると、「更新料ゼロ」の普及は緩やかな印象があります。2つめは、2年ごとに接点が持てるので、借主の近況や不便などを聞き出す機会が持てます。デメリットは、更新通知が住み替えのキッカケになり得る、ということです。貸主側から・更新の合意文書を取り交わす・更新料として〇〇円が必要と通知が届くのですから、「だったら同じ広さで安い物件に住み替えようか」と考えるキッカケを生んでしまう可能性があるワケです。
     自動更新のメリットは、入居後に家賃滞納やクレーム・トラブルがないかぎり、ほとんど手がかからない、ということでしょう。デメリットは、あえて接触の機会を作ろうとしないと借主の近況が分からない、ということです。たとえば入居後10年の借主は、勤務先も家族構成も変わっているかもしれず、個人保証の場合は、その方が亡くなっているかもしれません。トラブルのない10年だったので「良かったじゃないか」とも言えますが、知らないうちに、独居老人世帯になっていた、ということが起こるかもしれません。もうひとつのデメリットは、更新料という収入の機会がないことです。実は、昔は代替の収入機会があった、という話しがあります。

     
    高額だった「保証金と敷引き」
     
     慣習と言えば、契約時に授受される金銭で、地域で名称と性質が異なっていた代表的なものがあります。関西や西日本の「保証金・敷引き」と、関東などの「礼金・敷金」です。平成初め頃までの関西では、5万円の単身マンションの保証金が家賃の10カ月分相当、という高額のケースがありました。たとえば、その保証金50万円のうち、解約・退去後に敷引きとして25万円を差し引く、というような条件でした。その敷引きで借主の通常使用による損耗の補修費用を賄うのです。この「関西で保証金と敷引きが高額だった理由」のひとつが「自動更新にある」、という説です。つまり、更新料という収入が得られない代わりに、高額の敷引き収入を充てていたという説です。まあ、この正否はともかくとして、高額の保証金・敷引きは、市況の下降に伴って下がり続け、現在では国内のほとんどで姿を消して「礼金・敷金」で募集されていますので、「保証金・敷引き」という貸主に収入をもたらす制度は消えて、「自動更新」という、更新料収入を得る機会のない慣習は残った、ということになりますね。
     
    入居者に永く住んでもらうために
     
     さてご質問の主旨は、経営を引き継いだ質問者様が、「借主とまったく接点がない」という状態でいいのか? ということですよね。その答えは「接点はあった方がいい」と思います。貸主側と借主の関係が良ければ、トラブルは小さく収まるでしょうし、永く暮らしてもらえるでしょう。大家さん自ら接触するか、不動産会社に任せるか、方法は選べます。「借主と知り合うことで直接に要望されるのは困る」ということなら、「貸主側」の立場で不動産会社さんに間に入ってもらえればいいと思います。自動更新の地域でも、タイミングは「入居してから〇年が過ぎましたので」、ということで良いのではないでしょうか。「特に問題はございませんか?」というお尋ねとともに、同居人や勤務先などを記入する簡単な身上書的な書類を用意して、聞きながら書き込む、という作業になります。これから新規に入居される借主さんとの契約では、「2年ごとに更新する」としてもよいと思います。その際に「事務手数料」として5,000円くらい徴収できれば、作業が増える不動産会社さんの収入も確保できます。更新を漫然と過ごすのではなく、「いまの入居者さんに永く住んでもらうため」の、良い機会と捉えてみてはいかがでしょうか。

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