2023年9月 少額のリフォームに迷った時の判断基準とは? 齋藤 | さいたま市の賃貸は株式会社 別所不動産にお任せ下さい!

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  • 2023年9月 少額のリフォームに迷った時の判断基準とは? 

    2023年9月

        

    退去後の設備追加の費用対効果について

    Q
      築20年のマンション(平均家賃8万円で20世帯)を相続した新米大家です。貸室のリビングには10畳用エアコンがついていて、隣接の洋室は間に合うのですが、寝室用の洋間にエアコンがありません。空室が出たので設置を検討していますが、費用対効果などの考え方を教えてください。

    A
     熱中症の4割が室内で起きているそうですから、寝室にエアコンは必須となりましたね。エアコン工事は10万円くらいで可能なので決断は難しくありませんが、50万円のリフォームの場合はどうなのか? と判断に迷う時もありますよね。その基準や考え方についてお話しいたします。

    賃貸経営の目的と考え方が大事です。

     まず、オーナー様の賃貸経営に対する目的や考え方によって答えは異なります。たとえば、30年前に同じ仕様で建築された賃貸マンションが2棟あったとします。1棟は、壊れた箇所を修理する以外は何も手を加えていません。もう1棟は、耐用年数ごとに設備を最新にして、10数年ごとに外壁や鉄部を塗り替え、各室にエアコンを取り付けています。この2棟の現況は、前者は4万円で後者は8万円の平均家賃で経営されています。さて、どちらの方が望ましいでしょうか?
     答えは「どっちが望ましいということはない」です。前者の老朽化マンションで需要があるなら、満室近い経営が可能かもしれず、費用をかけていない分、収益が確保されているかもしれません。ローンが終わっているならキャッシュも残るでしょう。では、前者の経営を勧めているのか、というと、そうではありません。一般的には、老朽化マンションの入居需要は少ないですし、建物本体の寿命も短くなります。これから高額な修繕費が降りかかるので、あと30年の経営は困難だと思います。最初から築40年で取り壊す、という目的なら、このような経営も選択肢のひとつではあります。築20年のマンションを相続された質問者様は、これからどんな経営をしたいのか、30年後のマンションがどうなっていて欲しいのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

    投資に見合うかどうかで判断できます。

     10万円のエアコン設置に話を戻しましょう。設置することで家賃を3,000円上げられるなら10万円は約3年で元がとれる計算です。その後も3,000円の増収を数年は稼げるので良い投資だと思います。
    ただし、すぐに部屋が決まるという前提です。エアコンを設置し家賃据え置きで募集した時に、「寝室にエアコンなし」より1ヶ月早く決まるなら、家賃8万円分の増収で80%は回収できます。その後は借主さんの満足が続くので、こちらも良い投資だと思います。両方とも「すぐに決まる」という前提ですが、こればかりは予想するしかありませんね。広告で「熱中症対策…」のようなアピールができるところが有利だと思います。
     これは乱暴な提案ですが参考までにお読みください。寝室にエアコンのない世帯にも、このタイミングで設置してあげてはどうか? というアイディアです。たとえば5世帯は自前で設置していて、残り15世帯が未設置だとすると総額150万円の投資です。まとめて発注すれば工事の手間と時間が浮くので10~15%くらいは安くなるかもしれません。
     家賃も据え置きでよいと思います。「要求されてもいないのに、そんなお金をかける必要があるか」と思うかもしれませんが、入居者さんが要求しているのは明らかだと思います。もしオーナー様が、これから退去のたびにエアコン設置に費用をかけるなら、入居中のお客様に喜んでもらえる今の方が賢いお金の使い方ではないでしょうか。青色申告なら、すべて今期の経費として計上もできます。
    あくまでも参考意見ですが……。

    ”強み”を活かした広告をして下さい。

     では、50万円のリフォームの場合はどうでしょうか? 和室を洋室に、壁や襖にオシャレなクロス、古びたキッチンや洗面台に表層、などのリフォームを検討したときの判断基準です。エアコンの5倍ですが、家賃の値上げを5倍(15,000円)にするのは無理があります。投資の回収に5年から10年はみる必要がありますし、10年たてば投資した
    価値はゼロに戻るかもしれません。リフォームしてもすぐに部屋が決まるという保証もありません。しかし、広告で訴えることができる“強み”を手にしたのですから、それを活用すれば早く決まる可能性は高くなるはずです。でも迷うところですね。この判断の助けとなるのが、前述した賃貸経営の目的や考え方です。物件を「どんな状態で維持したいのか」という想いです。費用をかけず家賃の値下げで借主確保するのも、貸室のレベルと家賃を維持するのも「どちらもアリ」なのです。ただし20世帯の中で、何も手を付けない部屋と、手をかけた部屋と、300万以上の高額リノベの部屋が混在するのはお勧めできません。賃貸経営の方針が定まっていない結果ですね。所得や家族構成などがバラバラなので管理も難しくなります。
     さて、このマンションは亡くなられたお父様がポリシーを持って20年経営されたと思いますが、これからの20年40年を「どうありたいか」について考えられてはどうでしょうか。10万円のエアコン設置の答えは簡単に出せると思います。
     

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