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賃貸経営塾

  • 2023年4月号 賃貸経営塾 満室経営のための入居者条件を考える。

    2023年4月24日

        

    満室経営のための入居者条件を考える。

    3DKの賃貸マンションを相続した新米大家です。お陰様で3月末に満室になりました。20数年前に親父が「家賃滞納の借主に手を焼いている」「入居審査をしっかりやらないとダメだ」と言っていたのを思い出しました。現在は保証会社なので滞納の不安はないのですが、これから満室経営も厳しくなる中で、自分の都合優先の入居者選択を続けられるとは思えません。入居者の条件を定めることと、家賃滞納やトラブルの発生について、相関関係があれば教えてください。

    たしかにお父様の頃は、家賃滞納は貸主と不動産会社が対応していました。督促は誰でも嫌なものですから頭を悩ませたものです。それが保証会社が一般的になって、悩みのひとつがなくなったわけです。保証会社によっても異なりますが、彼らが審査で最も重視するのは「家賃の支払い能力」でしょう。ひとたび滞納が起これば、督促に手間と費用を奪われてしまうので当然ですが、入居者審査には、もうひとつ重要な要素があります。それは「トラブルを起こさないか」という属性です。共同住宅では「他の入居者の迷惑にならないこと」が求められていて、それを守ってもらえるか、というのも大事な要素です。万一、異常な行動をとる入居者がいると、周りの借主に退去されてしまい、その後は空き室が続いてしまうということもあります。この「トラブルを起こしやすい人の要素」を項目として並べるのは難しいのですが、保証会社では後順位の基準だけに、それを見極める意識を貸主側が持つことは大事です。

    満室経営とトラブル防止のバランス

     さて、満室経営と入居者条件の関係について考えてみましょう。平成初期の貸主優位の頃まで、勤務状況や家族構成など、厳格な基準で入居審査していた時代がありました。それから賃貸市況が借主優位に移行して空き室が目立ってくると、対策の一環として入居条件を緩めてきた、という流れがあったと思います。家賃滞納は保証会社の活用でほぼ解決できますが(保証会社活用していない大家さんもいますが)、物件内で問題が起こす可能性のある属性の方を排除することと、一方で満室経営のために条件を緩めるという、反する両方の思惑のバランスを検討する必要があります。



    高齢者マーケットとそのリスク対策

     たとえば、大家さんが入居を躊躇する条件として思い付くのは一人暮らしの高齢者さんです。高齢者のほとんどが持ち家というわけではありませんし、家を売却して資金を留保しながら賃貸を選択する高齢者もいるかもしれません。賃貸人としての高齢者マーケットが拡大していくわけですね。
     片方で空き室に不安を覚える大家さんがいるなら、これは検討すべきマーケットであることに異論はないと思います。ただし、家賃の支払い、健康や認知症の問題、孤独死の恐れ、というリスクが想定されるのも事実です。もし質問された大家さんが、満室のために入居条件の緩和を検討されるなら、この「高齢者リスク」に向き合ってみることをお勧めします。「高齢者に貸しましょう」と勧めているのではなく、一度は真剣に検討してみましょう、ということです。
     そもそも、建物という構造物を他人(ひと)の生活拠点として賃貸する、という経営にリスクが伴うのは宿命です。大げさに言えば家賃滞納に限らず、物件内での事故や事件、地震などの災害に遭う可能性はゼロにはできません。一人暮らしの高齢者を受け入れるとしたら、いくつものリスク回避の手段が思い付くはずです。実施するかどうかは最後の判断ですから、空き室の増加と長期化という事態に陥る前に、検討だけでもしておいてはどうでしょうか。

    リスクマネジメントへの意識を持つこと

     その他に検討する条件として外国人の入居者があります。質問者さんの物件はファミリー向けマンションですから、独身やルームシェアなどは条件外だと思いますが、子供が地域の学校に通うような、仕事と生活の基盤がしっかりしている家族なら検討してもよいと思います。もちろん、考え得るリスク回避の手段を講じる必要はあります。ただし入居を躊躇した場合、法務省は「国籍を理由にした入居拒否は人権侵害」と説明していて、訴訟で慰謝料が命じられた事例もありますので、国籍だけを理由とするのは避けてください。他にも、「ペットと暮らしたい」という需要も根強いですし、これからも増えるでしょう(これは従前の入居者からの反対や設備投資というハードルが高いですが)。
     築20年超の物件を経営するにあたって避けたいのは、リスクだけ見て検討せずに拒否することと、リスクを見ずに準備なしで突き進むことです。リスクを知ったうえで、それを回避する方法を検討し、その上で最終決断する「リスクマネジメント」への認識が賃貸経営には必要になります。これからも満室経営と収益改善にむけて取り組んでください。

     

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