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賃貸経営塾

  • No.58「ちょっと一言」“スマートメーター”が賃貸経営にもたらす影響

    2020年10月2日

        

    2016年の4月に法律の改正により電力の小売りが自由化されました。今月は、この電力自由化が賃貸経営にもたらす影響について考えてみたいと思います。
    入居者が自由に電気を選べる

    今回の電力自由化により、地域ごとの大手電力会社だけでなく、企業向けに電気の販売実績があるPPS 事業者、ガス会社、大手の通信会社、エネルギー関係の会社、コンビニや鉄道会社など幅広い新電力事業者が参入しています。賃貸住宅における電力自由化の仕組みを理解するためには、賃貸住宅のインターネット回線の仕組みを見ると分かりやすいです。インターネットは入居者さんが個別に、プロバイダーという業者と契約して利用しています。プロバイダー業者との契約は、管理会社や大家さんの承諾がなくても導入できます。それと一緒で、賃貸住宅に住んでいても新電力への切り替えは、入居者さんごとに自由にできます。しかし、ここで一つ、大きな問題が生じました。今までは地域の電力会社に雇われた検針員が、戸別に訪問して電気メーターを見て使用量を測っていましたが、今後は電力の購入先が世帯によって変わるため、この仕組みは使えなくなってしまうのです。では、今後どうやって電気の使用量を計るかという問題が起こりますが、それを解決するために、「スマートメーター」が登場しました(写真参照)。スマートメーターとはデータ通信が出来る機能を内蔵した電気メーター
    で、自動で検針することが可能です。スマートメーターに変わることで、電力の見える化も進み節電になるので、入居者さんにとっても良いことです。しかし、良いことばかりではなく、このスマートメーターが賃貸経営に大きな影響を及ぼし始めているのです。このことについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。
    本年中には全世帯がスマートメーターに
    実は、旧タイプの電気メーターからスマートメーターへの交換が進んでいて、国の方針としては本年中には全世帯にスマートメーターが導入される予定だそうです。交換方法は地域の電力会社によって対応が異なります。申し込めばスマートメーターへの切り替え可能なエリアもあれば、地域の電力会社以外の新電力から電力を購入する契約をするまでは、個別メーターだけの交換申し込みは受け付けないエリア、現在設置している電気メーターが使用期限(通常は10 年でメーターに記載されている)を迎えたタイミングで、順次切り替えを行っているエリアなど様々です。スマートメーターへの交換は無料なので、地域によっては知らないうちにスマートメーターに変わっていることもあるようです。「いつの間にかアパートの電気メーターがスマートメーターに変わっていて驚いた!」という大家さんも結構いらっしゃいます。
    スマートメーターで何が変わる?
    スマートメーターになると、検針・容量変更・プラン変更・未納停止・電力会社変更等、手続きのほとんどが、
    電力会社の人が現場に行かなくても、通信経由で遠隔操作が出来るようになります。様々なことがスマートメーター側で制御可能となるため、最近の新築では「30A」などと表記のある主ブレーカーがないものもあり、初めて見ると見慣れないので不思議な感じがします。さて、問題はここからなのですが、今までの古い電気メーターだと、よほど長期に空室にならない限りは、前の入居者さんが退去後でも、電気の供給が大元から遮断されることはありませんでした。ブレーカーを上げれば電気が点いたため、原状回復工事やご案内時には、不動産業者は普通に電気を使っていた訳です。そのように使った電気代はどうなるのか?というと、前の入居者さんが退去して電気契約を解約してから、誰も次の契約をしていない状態になっています。そこで電気が使われればメーターが動いて、検針に来た方が発見し、電力会社に伝わります。そして、契約名義の無いまま電気の使用量が出ているとの連絡が、管理会社や大家さんに入り、使った分を請求されるのが一般的な流れでした。ところが、スマートメーターが導入されたことで、前の入居者さんの退去に伴う電気契約の解約と同時に、遠隔操作で大元から電気が遮断されてしまうようになったのです。つまり、お部屋のご案内のために現地に行ったのに、ブレーカーを上げても電気が点かない訳です。電気の点かないお部屋のご案内が果たして上手くいくでしょうか?季節的に、これからどんどん暗くなるのが早くなりますので、お部屋も薄暗いですし、窓の無い洗面所、トイレ、浴室などは真っ暗です。これでは、如何に腕の良い営業マンでも申込みを取るのは難しいと思います。スマートメーターは、申し込んでから利用開始まで、割と短時間で電気を点けられるので、案内の前に電力会社に連絡して、当日だけ電気を繋いでもらうことも可能です。しかしながら、案内が急な場合は間に合いませんので、せっかくのチ
    ャンスを逃すことになってしまいます。この問題を解決するために、前の入居者さんが退去した後、今度はご自身で電気の契約をしているという大家さんも増えています。空室期間中でも電気契約をして基本料金を支払うのです。これは大家さんにとっては痛い出費ですが、電気が点かない部屋にご案内して決まらないことを考えると、今後は必要なことだと思います。機械やプログラムの発達で便利になる一方で、大家さんは出費が増えたり、検針員さんは仕事を失ったりしますので、ただ喜んでもいられません。ちなみに賃貸管理というお仕事は、いくら何が発達しようと「なくならない」と思っているのですが、いかがでしょうか。
     

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